特定技能「リネンサプライ」とは|いつから?申請受付は開始済み・要件と採用ルート
目次
「ホテルや病院のリネンを扱う自社もついに特定技能を使えるのか」「2027年開始と聞いたが、実際いつから動けるのか」——そんな疑問に答えるページです。結論から言うと、特定技能1号(リネンサプライ分野)による在留資格申請の受付は、2026年6月1日にすでに始まっています(厚生労働省の公表)。一方で技能試験(リネンサプライ分野特定技能1号評価試験)の実施要領は準備中のため、いま実際に採用まで動けるのは技能実習(リネンサプライ仕上げ作業)修了者の移行ルートが中心です。このページでは、確定していること・まだ確定していないこと・企業側の要件と今日からできる準備を、制定済みの運用要領別冊まで含む一次情報で整理します。
この記事の要点
- 申請受付は開始済み — 2026年6月1日に「特定の分野に係る要領別冊(リネンサプライ分野)」が制定・公表され、同日から特定技能1号の在留資格申請が可能になりました。「2027年開始予定」とする解説は、2027年4月施行の育成就労制度と時期が混ざりやすい点に注意が必要です。
- 試験ルートはまだ動いていない — リネンサプライ分野特定技能1号評価試験の実施要領は準備中(2026年7月28日時点)。当面の採用母集団は、技能実習2号(クリーニング職種・リネンサプライ仕上げ作業)の良好な修了者です。
- 受け入れの前提は衛生基準の認定 — 業界団体の衛生基準の認定(事業所単位)が無いと受け入れは始まりません。認定日と申請期限は固定されています(日本リネンサプライ協会ルートは年2回・医療関連サービス振興会ルートは年3回)。未認定の企業は、試験の公表を待つより先に認定の逆算が必要です。
リネンサプライ分野は制度の整備が進行中です。本記事は2026年7月28日時点(編集部の確認日。出典中の「◯年◯月◯日現在」はその資料自身の基準日)の出入国在留管理庁・厚生労働省の公表資料(分野別運用方針・運用要領別冊を含む)に基づきますが、試験の実施時期などは今後の公表で確定します。この記事の内容だけで採用計画を確定せず、必ず出入国在留管理庁・厚生労働省の最新情報を確認してください。
いつから?——申請受付は2026年6月1日に始まっている
リネンサプライ分野の特定技能1号は、2026年6月1日から在留資格申請の受付が始まっています。厚生労働省は同日付で「特定技能1号(リネンサプライ分野)による在留資格の申請が可能になりました」と公表し、申請の前提になる「特定の分野に係る要領別冊(リネンサプライ分野)」も同日に制定・公表されました。[1]制度追加の決定から申請受付開始までの流れは次のとおりです。
| 時期 | 出来事(リネンサプライ分野) |
|---|---|
| 2026年1月23日 | 閣議決定で特定技能・育成就労の対象分野に追加(分野別運用方針の決定) |
| 2026年4月7日 | リネンサプライ分野特定技能協議会が第1回会合を開催(厚生労働省) |
| 2026年6月1日 | 運用要領別冊が制定され、特定技能1号の在留資格申請の受付が開始。出入国在留管理庁の「受入れ可能な分野」一覧にも掲載 |
| 2026年7月14日 | 育成就労制度運用要領(リネンサプライ分野)が制定 |
| 未定(準備中) | リネンサプライ分野特定技能1号評価試験の実施要領・日程(ジョブディスクリプション〔職務記述書〕のページも準備中) |
「2027年開始」と紹介されることが多いのは、同じ閣議決定で決まった育成就労制度での受け入れが、制度施行(2027年4月1日)以降になるためです。育成就労としての受け入れはこれからですが、特定技能としての申請はすでに可能——この2つの制度の時期の違いが、リネンサプライ分野の「いつから」を分かりにくくしています(育成就労制度の全体は育成就労の対象分野)。
検索結果には、追加決定当時の見通しのまま「2027年から開始予定」と説明する情報も残っています。本記事の時系列は、厚生労働省・出入国在留管理庁が公表している一次資料の日付に基づいています。試験の続報は厚生労働省のリネンサプライ分野ページと出入国在留管理庁の分野別情報で公表されます——公表を確認し次第、本記事にも反映します。
なお、同時に追加された3分野の中で、出入国在留管理庁の「受入れ可能な分野」一覧に掲載されているのはリネンサプライのみです(一覧の基準日は2026年6月1日現在・2026年7月28日閲覧。一覧の基準日以降の各分野の整備は掲載に反映されていない可能性があります)。物流倉庫(特定技能「物流倉庫」の解説)・資源循環(特定技能「資源循環」の解説)も整備は続いていますが、この一覧への掲載には至っていません。対象19分野の全体像は特定技能の対象分野一覧で確認できます。
当面の採用ルート:技能実習修了者の移行が中心(試験は準備中)
申請受付は始まりましたが、新規人材向けの試験ルートはまだ動いていません。技能水準を確認する「リネンサプライ分野特定技能1号評価試験」は名称と位置づけが決まっているものの、試験実施要領は準備中で、実施団体・日程は公表されていません(2026年7月28日時点)。このため、採用したい人材がどのルートに当たるかで、いま動けるかどうかが分かれます。
| 採用したい人材 | 技能試験 | 日本語試験 | 採用まで動けるか(2026年7月28日時点) |
|---|---|---|---|
| 技能実習2号(クリーニング職種・リネンサプライ仕上げ作業)を良好に修了した人材 | 免除 | 免除 | 動ける(当面の中心ルート) |
| 別の職種・作業の技能実習2号を良好に修了した人材 | 必要(試験は未実施・実施時期未定) | 免除 | 試験の実施待ち |
| 技能実習歴のない人材(海外からの新規採用など) | 必要(試験は未実施・実施時期未定) | 必要(JFT-Basic A2.2相当以上またはJLPT N4以上) | 試験の実施待ち |
免除の根拠は運用要領別冊です。リネンサプライ分野に関連する技能実習2号(別表でクリーニング職種・リネンサプライ仕上げ作業と定められています)を良好に修了した人材は、技能・日本語とも試験免除で特定技能1号に移行できます。別職種の技能実習2号修了者は、日本語試験は免除される一方で技能試験の合格が必要です。この職種名は従来の「リネンサプライ職種」から「クリーニング職種」へ名称が変更されたものです(外国人技能実習機構の公表)——旧名称の時期の実習計画でも、作業(リネンサプライ仕上げ作業)が同じであれば対象です。⚠️ ひとつ注意があります。同じクリーニング職種でも、免除対象の作業は別表上「リネンサプライ仕上げ作業」のみ——「一般家庭用クリーニング作業」の技能実習2号修了者は、この分野の技能試験免除の対象にはなりません(運用要領別冊 別表)。試験・免除の分野共通の仕組みは特定技能の試験と免除ルートで整理しています。
移行時に技能水準の証明として使うのは、リネンサプライ技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の写し、専門級に合格していない場合は技能実習生に関する評価調書(参考様式第1-2号)です(運用要領別冊)。「良好に修了した」の判断もこれらの書類が入り口になります。[2]
実習からの受け入れ基盤は、業界にすでに広がっています。リネンサプライ業務に従事する技能実習生は2024年末(令和6年末)時点で2,971人(前年2,200人=1年で771人増・在留者数ベース)——ただしこれは在留中の実習生の総数で、そのまま移行できる「良好な修了者」の数ではない点に注意してください。国籍の傾向は、同じ協議会資料の技能実習計画認定件数(クリーニング職種)ベースでフィリピン33%・ベトナム28%・インドネシア20%です。
また、移行の要件(技能実習2号の良好な修了)は人材側の要件として定められており、「どの企業で実習したか」を制限する記載は、運用要領別冊・上陸基準に見当たりません(2026年7月28日時点)。自社で実習生を受け入れてこなかった企業が、他社で良好に修了した人材を雇用することも制度上妨げられていません——求人や人材紹介経由での採用も、この分野の現実的な入り口になります(技能実習と特定技能の制度の違いは特定技能・技能実習・育成就労の違い)。[3]
自社がどのルートで動けるか(実習修了者の移行か・試験待ちか)と費用感の整理は、ここから先に進められます。
対象業務:入荷から出荷までの一連の業務
特定技能外国人が従事するのは、ホテルや病院などで使用されたリネン類の「入荷、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、検品、結束、出荷」などの一連の業務です(分野別運用方針・運用要領別冊)。業務区分は「リネンサプライ」の1区分です。リネンサプライ業は、シーツ・タオル・病衣などのリネン類を貸与し、回収・洗濯して繰り返し納品する事業で、工場内の工程は「入荷・仕分け→洗濯・脱水・乾燥→仕上げのための投入→検品→結束→出荷準備」と流れます(協議会資料)。
| 区分 | 特定技能「リネンサプライ分野」の業務内容 |
|---|---|
| 従事する業務 | リネン類の入荷から出荷までの一連の業務(入荷・仕分け・洗濯・乾燥・仕上げ・検品・結束・出荷など) |
| 関連業務(付随的に従事可) | 使用資材等の運搬作業、事業所で日常的に行われる清掃作業など |
技能評価の軸は仕上げ工程です。評価試験は「基礎的な技能・知識を修得し、1つのラインのライン長(ラインのリーダー)を担うレベル」を確認するものとされ(運用要領別冊)、協議会資料の育成イメージでも、機械投入・検品・結束/包装・機械操作・機械メンテナンス・仕上げ作業ラインの管理指導という技能実習(仕上げ作業)から続く軸が示されています。なお、関連業務だけに従事させることは認められていません(運用要領別冊)。
顧客先への集配・配送を任せられるかは、明記されていません。 運用方針・運用要領別冊が挙げる業務は工場内の工程(入荷〜出荷)で、関連業務の例示も「使用資材等の運搬作業」「事業所において日常的に行われる清掃作業」まで——顧客先への配送・回収業務が含まれるとする記載は、一次資料上見当たりません(2026年7月28日時点。トラック運転を主業務とするドライバー職は、特定技能では別分野〔自動車運送業〕の領域です)。集配要員として計画したい場合は、所管(厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課)や行政書士などの専門家に個別に確認することをおすすめします。
なお「自社はリネンサプライ業に当たるのか」という入口の問いは、業種の呼び方ではなく、次節の受け入れ要件(衛生基準の認定を受けた施設など)を自社の施設が満たせるかで判断するのが実務的です。
受け入れ企業の要件:衛生基準の認定が必須(事業所単位)
受け入れの前提は、業界団体が定めた「衛生基準」の認定を受けた事業所であることです。 分野固有の基準は告示(令和8年厚生労働省告示第183号)と運用要領別冊で確定しており、企業側の分野固有の基準の柱は次の3つです。
① 衛生基準の認定を受けた事業所であること(受け入れ企業側の基準・告示第2条)。 次のいずれかの認定が必要です。
- 一般社団法人日本リネンサプライ協会が運用する「リネンサプライ業に係る洗濯施設及び設備に関する衛生基準」
- 一般財団法人医療関連サービス振興会が運用する「寝具類洗濯業務に関する基準」
運用上の注意点が3つあります。認定は法人単位ではなく事業所(施設)単位で、複数の施設がある場合は認定を受けた施設でしか特定技能外国人を働かせられません。受け入れる事業所は雇用条件書に記載する事業所と一致している必要があり、受け入れ後に営業所を変更する場合は届出と認定書類の添付が必要です。また認定には有効期限があり、更新しなければ要件を満たさなくなります。
② 在留資格申請の前に、分野別協議会の構成員になること(同・告示第2条)。 リネンサプライ分野特定技能協議会(厚生労働省設置)への加入は、在留諸申請の前に済ませる必要があります。加えて、協議会で協議が調った措置を講じること・協議会に必要な協力を行うことも基準に含まれます。入会申請はオンラインで、電子申請フォームから申請し必要書類をメールで提出すると、構成員資格証明書が電子媒体で交付されます。厚生労働省は加入に費用はかからないと案内しており、構成員の一覧も公表されています(2026年7月14日現在の一覧を掲載)。手続きは受け入れ企業自身が行います——厚生労働省は「登録支援機関の代行による手続きは、認めておりません」と明記しており、加入要件の事前確認も案内されています。なお、支援を委託された登録支援機関は、自ら受け入れ企業となる場合を除き、この協議会に加入できません。[4]
③ 直接雇用に限ること。 雇用形態は直接雇用に限られ、労働者派遣は認められません(分野別運用方針。この点は受け入れ企業側の基準〔告示第2条〕とは別に、在留資格申請側の上陸基準〔告示第1条〕として「雇用契約に労働者派遣の対象としない旨を定めること」という形でも担保されています)。運用要領別冊は、特定技能外国人を派遣し、または派遣された人材を受け入れた場合、出入国に関する法令上の不正・著しく不当な行為(不正に許可を受けさせる目的での虚偽文書の行使等)を行ったものとして、以後5年間は特定技能外国人の受け入れができなくなると説明しています(特定技能で派遣が認められているのは現状、農業・漁業のみ)。
このほか、厚生労働省の調査・指導への協力や、特定技能外国人から求めがあったときに実務経験を証明する書面を交付する義務(交付しない場合は基準不適合)も定められています。在留資格申請時の分野固有の確認書類は、誓約書(分野参考様式第19-1号)・協議会の構成員であることの証明書・衛生基準の認定を受けていることを証する文書(有効期限内のもの)です(申請手続き全体の流れ・分野共通の書類は特定技能の在留資格申請の解説へ)。なお、在留資格申請の書類作成・申請取次は行政書士など専門家の領域です——本記事は制度情報の整理にとどめ、個別の申請実務は専門家への相談をおすすめします。企業側の分野共通の要件(支援体制・雇用契約の基準など)は特定技能で企業に求められる受け入れ要件で全体像を確認できます。
認定をまだ持っていない場合:取得は「認定日からの逆算」
衛生基準の認定は申請してすぐ取れるものではなく、認定日と申請期限が固定されています。 認定は2ルートあり、告示上はどちらの認定でも構いません(「いずれかの基準に適合する旨の認定」)。ただし振興会の認定は、原則「病院洗濯物のみを取り扱う専門施設」が対象です(他の洗濯物も扱う場合は隔壁等で区分し、病院洗濯物専用の設備であることが求められます)——このため、ホテル・旅館向けのリネンを扱う施設は実質的に協会(JLSA)ルートが起点になります。両団体の公表情報は次のとおりです(2026年7月28日確認。額・日程は各団体の最新の公表が正)。
| 項目 | 日本リネンサプライ協会「衛生基準」認定 | 医療関連サービス振興会「医療関連サービスマーク」(寝具類洗濯業務) |
|---|---|---|
| 対象 | リネンサプライ業の洗濯施設(会員以外も申請可) | 病院の寝具類の消毒・洗濯・修理業務を行う施設(原則、病院洗濯物のみの専門施設) |
| 認定の単位 | 施設ごと(法人単位ではない) | 施設・業務ごと(受託施設ごとにクリーニング師等の管理体制) |
| 認定日と申請書類の受付 | 年2回=8月1日(申請期限3月31日)・2月1日(申請期限9月30日)=認定日の4か月前まで | 年3回=2月1日(受付9月中旬頃)・6月1日(受付1月中旬頃)・10月1日(受付5月中旬頃)(提出先は一般社団法人日本病院寝具協会) |
| 審査の流れ | 書類審査→実地調査(5月中旬〜6月中旬・11月中旬〜12月中旬)→認定審査→認定証交付 | 書類調査→実地調査→有識者で構成する審査専門部会・評価認定制度委員会で合否判定(結果は認定日までに通知) |
| 有効期間 | 3年間(更新申請で再認定) | 公表ページに明記なし(振興会に確認) |
| 費用 | 申請手数料50,000円(消費税含む)+認定料(新規の基本額=会員50,000円・会員外150,000円に、1日の処理トン数に応じた加算額〔最大48,000円〕)+実地調査費(額は協会公表の料金表参照) | 申請手数料50,000円(税込)+認定料(認定後に請求書で案内) |
| 基準・審査の中身(例) | 隔壁(高さ180cm以上・床固定・半永久的な材質。厚手の透明ビニールシート+保護バー等の構造も可=ブルーシート・布は不可)で汚染・準汚染・清潔の作業区域を区分/クリーニング所届出とクリーニング師の資格書類/6か月に1度以上の指定洗濯物(タオル)検体検査(未実施は更新不合格)/新設施設は申請時点で平常稼働していること | 汚染(受取場・選別場・消毒場)・準汚染(洗い場等)・清潔(乾燥場・仕上場・引渡場等)の区分/清潔作業区域の入路に手洗い・消毒設備/賠償資力の確保(制度保険または代替保険)が必要 |
未認定の企業がいま動く場合の時計はこうなります。 協会ルートなら、次の申請期限は2026年9月30日(認定日2027年2月1日)——これを逃すと次は2027年3月31日締切(認定日2027年8月1日)です。振興会ルートは年3回の受付期間から逆算します。しかも申請は書類を出すだけではありません——協会ルートの新規申請には、申請前3か月以内の検体検査結果・標準作業書・工場機械設備配置図(レイアウト図)・登記簿謄本などの添付が必要で(協会公表の申請案内)、締切直前に思い立っても間に合わない構造です。「試験が公表されてから考える」と、認定のサイクルの分だけ後ろへずれていきます。
協会の認定工場は全国172施設(2026年2月1日現在・協会公表。振興会ルートの認定施設は別にあります)。リネンサプライ業の事業所数は4,284(令和3年経済センサス・協議会資料)ですから、まず自社の施設が認定済みかどうかの確認が、この分野の受け入れ検討の実質的な出発点です。いずれのルートも詳細・最新の条件は各団体の公表資料で確認してください。認定は業界団体の制度であり、登録支援機関の支援業務として想定されているものではありません。[5]
受入見込数4,300人の意味:不足2万100人から逆算された枠
特定技能1号の受入見込数は、2029年(令和11年)3月末までの受入れ上限として4,300人です(同時追加の物流倉庫は11,400人・資源循環は900人。いずれも2026年1月23日閣議決定時点)。この数字の背景には、分野別運用方針が示す人手不足の算定があります。
- リネンサプライ分野の有効求人倍率は3.71倍(令和6年度)。
- 2028年度(令和10年度)に必要となる就業者数は11万9,800人と推計される一方、就業者数の見込みは9万9,700人=2万100人程度の人手不足。
- 生産性向上(5,200人程度)と国内人材の確保(7,200人程度)で緩和してもなお7,700人程度が不足——分野全体の受入見込数7,700人(特定技能4,300人+育成就労3,400人)は、この残る不足数そのものとして算定されています。
規模感で言えば、リネンサプライ業の従業者は101,307人(令和3年経済センサス・協議会資料)で、2026〜28年度の受入れ上限4,300人はその約4%に当たります(編集部算出。従業者数は令和3年時点の値)。また、受入見込数は実際に効く上限です——分野別運用方針には、受入れ見込数を超えることが見込まれる場合などに、厚生労働大臣が法務大臣に対して在留資格認定証明書の交付停止の措置を求める仕組みが定められています。枠に余裕があるうちに動くかどうかも、計画の変数になります。
なお、処遇面では分野別運用方針が、賃金構造基本統計調査で「洗濯・理容・美容・浴場業」の平均賃金が令和6年に前年比4.5%上昇したことに触れています。特定技能外国人の報酬は日本人と同等以上が大前提であり、賃金水準の上昇局面での採用計画になる点は織り込んでおきましょう。
特定技能2号については、出入国在留管理庁の分野別情報に「リネンサプライ分野は、特定技能2号の受入れを行うことはできません」と明記されています。[6]1号の在留期間は通算5年が上限——つまりこの分野の特定技能人材は、最長でも5年で必ず入れ替わる前提です。長期の人員計画は、毎年の採用を平準化するか、育成就労(2027年4月〜)を後続の入り口として重ねる形になります。育成・キャリア形成プログラム(厚生労働省が策定し公表するとされています)や制度の今後の改定もあわせて確認してください。[7]
育成就労側(2027年4月〜)は水準が段階設計されている
育成就労としての受け入れは2027年4月の制度施行以降ですが、リネンサプライ分野の水準はすでに分野別運用方針で決まっています。 中長期の採用計画(育成就労で受け入れ→特定技能へつなぐ)を考える企業向けに、要点だけ整理します。
| 段階 | リネンサプライ分野の育成就労の水準(分野別運用方針) |
|---|---|
| 就労開始まで | 日本語=A1相当以上の試験合格、または認定日本語教育機関等での相当水準の講習受講 |
| 1年経過時まで | リネンサプライ分野育成就労評価試験(初級)と日本語A1相当以上の試験に合格 |
| 育成終了まで | 特定技能1号の水準(リネンサプライ分野特定技能1号評価試験+A2.2相当以上)が求められる |
| 本人意向の転籍 | 転籍制限期間は1年。転籍には育成就労評価試験(初級)合格+日本語A2.1相当以上が必要 |
育成のイメージも協議会資料に示されています——1年目は品種別仕上げ機械への投入・機械操作・メンテナンス、2〜3年目は検品・結束包装・仕上げ作業ラインの管理指導へと段階的に広がる設計で、技能実習(クリーニング職種・リネンサプライ仕上げ作業)と同様の育成・評価が想定されています。
今日からできる準備:認定の逆算→協議会加入→移行候補の洗い出し
申請受付が始まっている以上、「試験の公表待ち」で全部を止める必要はありません。次の順で進められます。
- 自社の事業所が衛生基準の認定を受けているか確認する — 認定が無ければ受け入れは始まりません。未取得なら、認定日からの逆算でスケジュールを引きます(協会ルートの直近は申請期限2026年9月30日→認定日2027年2月1日)。
- 協議会の入会申請を出す — 在留資格申請の前に構成員になる必要があり、この手続きは登録支援機関に代行してもらうことはできないため(厚生労働省が明記)、自社で先に済ませておくと申請段階で詰まりません。オンラインで申請でき、加入に費用はかからないと案内されています(他分野も含む全17分野の協議会名・加入の期限は分野別協議会の一覧にまとめています)。
- 技能実習(リネンサプライ仕上げ作業)の修了者・修了予定者を洗い出す — いま採用まで動ける中心ルートです。自社で受け入れてきた実習生に限らず、他社で良好に修了した人材の採用も対象になります。
- 制度の全体像と費用感をつかむ — 特定技能の仕組み・企業側の義務は分野共通です。特定技能採用の完全ガイドで受け入れ要件・支援義務まで全体像を、採用の流れと採用費用・相場で段取りと費用の構造を確認できます。特定技能1号では義務的支援が必要で、多くの企業は登録支援機関に委託します。採用する国籍の言語に対応できる機関かを先に見ておくと、動き出しが速くなります。
まとめ
リネンサプライ分野は、2026年6月1日から特定技能1号の在留資格申請の受付が始まっています。「2027年開始」は育成就労側の時期で、特定技能はすでに申請可能——ここが最も誤解されやすい点です。ただし技能試験は実施要領の準備中のため、いま採用まで動けるのは技能実習(リネンサプライ仕上げ作業)修了者の移行ルートに絞られます。受け入れ企業側の実質的な関門は衛生基準の認定(事業所単位・協会ルートは有効期間3年で認定日は年2回・振興会ルートは年3回)で、在留資格申請前の協議会加入(代行不可)と直接雇用も要件です。受入見込数は3年間で4,300人(不足2万100人からの逆算)・特定技能2号は不可。認定の逆算と協議会加入は今日から進められます。
受け入れ停止の状況と全19分野の充足率は特定技能の受け入れ停止と分野別の充足率で確認できます。
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よくあるご質問
- リネンサプライ分野の特定技能はいつから受け入れできますか?
- 特定技能1号(リネンサプライ分野)による在留資格申請の受付は、2026年6月1日に始まっています(厚生労働省の公表・運用要領別冊の制定と同日)。「2027年開始」とする情報は、2027年4月施行の育成就労制度の時期と混ざりやすい点に注意してください。ただし技能試験(リネンサプライ分野特定技能1号評価試験)の実施要領は準備中のため(2026年7月28日時点)、当面の現実的な採用ルートは、技能実習(クリーニング職種・リネンサプライ仕上げ作業)を良好に修了した人材の移行が中心です。個別の申請可否・時期は必ず公式情報で確認してください。
- リネンサプライ分野ではどんな業務を任せられますか?どんな企業が受け入れできますか?
- 従事できるのは、ホテルや病院などで使用されたリネン類の入荷、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、検品、結束、出荷などの一連の業務です(使用資材の運搬や清掃などの関連業務には付随的に従事できますが、関連業務だけに従事させることはできません)。受け入れ企業側は、一般社団法人日本リネンサプライ協会の衛生基準または一般財団法人医療関連サービス振興会の寝具類洗濯業務に関する基準の認定を受けた事業所(施設単位)であることが要件です。加えて、在留資格の申請前にリネンサプライ分野特定技能協議会の構成員になる必要があります(加入に費用はかからないと案内されています)。
- リネンサプライ分野の受入見込数と、特定技能2号の有無を教えてください。
- 特定技能1号の受入見込数は、2029年(令和11年)3月末までの受入れ上限として4,300人です(育成就労は3,400人・分野全体で7,700人)。分野全体の7,700人という数字は、2028年度に見込まれる人手不足2万100人から、生産性向上と国内人材確保での緩和分を差し引いてなお残る不足数として算定されています。特定技能2号については、出入国在留管理庁の分野別情報に「リネンサプライ分野は、特定技能2号の受入れを行うことはできません」と明記されています。数値・制度は変わる可能性があるため最新の分野別運用方針で確認してください。
出典・参考(一次情報)
- リネンサプライ分野における新たな外国人材の受入れ(厚生労働省)
- 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(リネンサプライ分野の基準について・令和8年6月)(法務省・厚生労働省)
- リネンサプライ分野特定技能制度などの概要(第1回リネンサプライ分野特定技能協議会 資料)(厚生労働省)
- リネンサプライ分野特定技能協議会(加入手続き)(厚生労働省)
- 衛生基準認定制度とは(一般社団法人日本リネンサプライ協会)
- 特定技能 分野別情報(リネンサプライ分野)(出入国在留管理庁)
- リネンサプライ分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(法務省・厚生労働省)