特定技能で家族の帯同はできる?1号・2号といつから呼べるかを企業向けに解説
目次
特定技能で外国人を採用するとき、定着の設計で関わってくるのが「家族を日本に呼べるのか」です。結論を先に言うと、特定技能1号は家族帯同が原則できず、特定技能2号は配偶者・子を在留資格「家族滞在」で帯同できます。[1]
企業にとって実務的に難しいのは「できるか」ではなく「いつから・何がそろえば呼べるのか」です。このページでは、その時期を決める3つの時計に分解したうえで、企業側で動かせる変数と申請に関われる範囲、呼べる家族の範囲と書類、家族が働ける範囲、社会保険や年末調整で変わる点、そして帯同した子の将来までを、出入国在留管理庁などの公表資料に当たって整理します。
この記事の要点
- 1号は原則不可・2号は可 — 在留資格「家族滞在」の対象となる在留資格に含まれるのは特定技能2号です。育成就労も原則として家族帯同を認めていません。
- 「いつから」は3つの時計で決まる — ①2号になる時期 ②扶養能力を示す課税・納税証明書がそろう時期 ③手続にかかる日数。②を見落とすと、制度上は申請できるのに書類がそろわない期間が生まれます。
- 申請の代理人になれるのは扶養者本人と親族 — 家族滞在の代理人は入管法施行規則の別表第四で限定されており、国内にいる人材の家族を呼ぶ場合、企業の職員は代理人になれません(海外から2号を採用し家族も同時に呼ぶ場合は例外があります)。
- 呼んだ家族は週28時間まで働ける — 資格外活動の包括許可を受けた場合です。ただし健康保険の被扶養者の認定基準は別にあります。
- 子を呼ぶなら「日本の学校に通える時期」から — 帯同した子が高校卒業後に日本で就労するための在留資格変更には、入国時18歳未満に加えて日本の高等学校の卒業(ルートによっては義務教育の修了も)が要件に含まれます。
本記事は一般的な情報提供です。家族帯同や在留資格の取扱いは入管法令で定められ、改正されることがあります。例外的な取扱いや個別の可否は審査によるため、最新の内容は出入国在留管理庁の情報で必ず確認してください。在留資格の申請取次・書類作成は行政書士などの専門家の領域です。
家族帯同の可否は在留資格で決まる
家族(配偶者・子)を日本に呼べるかどうかは、その人材が持つ在留資格で決まります。制度の根拠は在留資格「家族滞在」の側にあり、その該当活動として列挙されている在留資格には特定技能2号は含まれ、特定技能1号は含まれていません。[2]
| 外国人材の在留資格 | 配偶者・子の帯同 | 根拠 |
|---|---|---|
| 特定技能1号 | 原則できない(限定的な例外あり) | 在留資格「家族滞在」の対象に含まれない |
| 特定技能2号 | できる(在留資格「家族滞在」) | 在留資格「家族滞在」の対象に含まれる |
| 育成就労 | 原則できない | 育成就労制度Q&A Q59 |
| 在留資格「介護」 | できる(在留資格「家族滞在」) | 在留資格「家族滞在」の対象に含まれる |
育成就労制度Q&AのQ59は「原則として、家族の帯同を認めないこととしています」と明記しています。[3]技能実習から移行する育成就労制度を入口にする場合も、家族帯同の起点が特定技能2号である点は変わりません。
在留期間や更新の上限そのものは特定技能の在留期間と更新、1号と2号の全体像は1号・2号の比較で解説しています。
「いつから呼べるか」は3つの時計で決まる
家族が実際に来日できるのは、次の3つがすべてそろった時点です。どれか1つでも遅れると、そこが律速になります。
時計1:その人材が特定技能2号になる時期
まず、自社の分野に2号があるかを確認します。出入国在留管理庁のよくある質問Q37によれば、特定技能1号の16分野のうち介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業を除く11分野が2号の受入れ対象です(工業製品製造業分野は機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分に限られます)。[1]この5分野で受け入れている場合、特定技能の枠内では家族帯同の道がありません。分野ごとの状況は対象分野の一覧で確認できます。
次に移行の時期です。同じQ&AのQ12は、1号を経れば自動的に2号へ移行できるわけではない一方、高い技能が試験等で確認されれば1号を経ずに2号を取得することもできるとしています。[1]「1号で5年」という順路だけが前提ではありません。試験・実務経験の要件は1号・2号の比較で解説しています。
時計2:扶養能力を書類で示せる時期
見落とされやすいのがここです。家族滞在は扶養を受けて在留する在留資格のため、申請では扶養者(本人)の職業と収入を証する文書が求められます。具体的には、在職証明書または営業許可書の写し等と、住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得および納税状況が記載されたもの)です。1年間の総所得と納税状況の両方が記載されている証明書であれば、どちらか一方の提出で足ります。[2]
問題は、この課税証明書がその年の1月1日に住んでいた市区町村から発行されるという点です。出入国在留管理庁も「入国後間もない場合や転居等により、お住まいの区役所・市役所・役場から発行されない場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署にお問い合わせ下さい」と案内しています。[2]
つまり、2号への移行と同じ時期に転居や転職があると、制度上は申請できるのに、扶養能力を示す書類がそろわない期間が生じ得ます。呼び寄せの時期を人材と約束する前に、その時点で課税証明書が取れるかを確認してください。
時計3:手続にかかる日数
出入国在留管理庁は、在留資格認定証明書交付申請の標準処理期間を1か月~3か月としています。[4]あわせて、実際の平均処理日数も毎月公表されています(令和8年5月許可分は次のとおり)。
| 手続 | 平均処理日数 | 何までの日数か |
|---|---|---|
| 特定技能2号への在留資格変更許可申請 | 54.8日/41.5日 | 処分(告知)まで/審査終了まで |
| 家族滞在の在留資格認定証明書交付申請(海外から呼ぶ場合) | 69.1日 | 処分(交付)まで |
| 家族滞在への在留資格変更許可申請(すでに日本にいる家族) | 39.9日/31.4日 | 処分(告知)まで/審査終了まで |
| 査証(ビザ)の申請から発給まで | 申請受理の翌日から5業務日 | 申請内容に特に問題のない場合の標準 |
出典=出入国在留管理庁「在留審査処理期間」令和8年5月許可分[5]/外務省「査証取得までの必要日数」(令和4年12月5日)[6]
この表の3つの入管の数値は基準が同じではありません。認定証明書交付申請は「処分(交付)まで」、更新・変更は「処分(告知)まで」で、後者には審査終了から実際に入管局で許可を受けた日までの期間が含まれます。[5]入管の処理日数は毎月更新される系列です。査証についても、申請数が多い時期はそれ以上の日数がかかることがあり、申請内容に疑義がある場合は発給までに1か月以上かかる場合があると外務省が案内しています。[6]
3つを1本の時間軸に並べる
海外にいる家族を呼ぶ場合、順番は次のようになります。
2号への在留資格変更を申請
許可まで平均54.8日(処分の告知まで・令和8年5月許可分)
2号の許可=家族滞在を申請できる状態に
ここで課税・納税証明書が取れるかを確認する。取れない時期なら、発行される時期まで待つことになる
家族滞在の在留資格認定証明書を申請
標準処理期間1か月~3か月(同じ月の平均は69.1日)
在外公館で査証を申請
申請内容に問題がなければ申請受理の翌日から5業務日
来日・住居地の届出
住居地を定めてから14日以内に市区町村へ届け出る
入管の2つの手続だけで、同じ資料の平均値を単純に足すとおよそ124日(54.8+69.1)です。そこに査証と渡航、そして時計2の待ち時間が乗ります。2号への変更申請から半年程度を見ておき、課税証明書が取れない時期に当たる場合はさらに余裕を見る、というのが現実的な組み立てです。
なお、令和5年3月17日から在留資格認定証明書を電子メールで受領できます。オンラインで交付申請をした場合と、事前にオンラインで利用者登録して窓口申請をした場合が対象で、受け取ったメールは海外にいる本人へ転送でき、本人はスマートフォン等でそれを提示して査証申請・上陸申請ができます。[7]紙の証明書を本国へ国際郵送する日数と費用は、この方法なら不要になります。
企業側で動かせる変数
家族滞在の申請は本人の在留資格の手続ですが、企業が関われる範囲は思われているより広く、審査に使われる資料のいくつかは企業が握っています。
まず「誰が申請できるか」を正しく把握する
在留資格認定証明書交付申請の一般的な案内には「当該外国人を受け入れようとする機関の職員その他法務省令で定める代理人」とありますが、[4]この「法務省令」=入管法施行規則の別表第四は、在留資格ごとに代理人を定めています。家族滞在の欄はこうです。[8]
一 本邦において本人を扶養することとなる者又は本邦に居住する本人の親族 二 本人を扶養する者の在留資格認定証明書の交付の申請の代理人となつている者
ここから、企業の関わり方は2つのケースで分かれます。
- すでに日本にいる人材が家族を呼ぶ場合(1号から2号へ変更した人材など)=代理人になれるのは扶養することとなる本人または日本に居住するその親族です。企業の職員は代理人になれません。
- 海外から特定技能2号として採用し、家族も同時に呼ぶ場合=特定技能の欄の代理人は「本人と特定技能雇用契約を結んだ本邦の機関の職員」なので、[8]企業が本人の申請の代理人になります。その結果、上の二号に該当し、家族の申請でも企業の職員が代理人になり得ます。
代理人に代わって書類を提出できる者(地方出入国在留管理局長が相当と認めて出頭を要しないとする場合)も、公益法人の職員、一定の登録支援機関の職員、所属会を経由して届け出た弁護士・行政書士、法定代理人に限られています。[8]
一方、家族が来日した後の資格外活動許可(週28時間の許可)については、家族滞在で在留する者の申請書等を、その家族を扶養している外国人が雇用されている機関の職員が、地方出入国在留管理局長が適当と認める場合に提出できる旨が定められています。[8]こちらは自社が関われる手続です。
手続の共通事項として、代理人等が申請する場合の提出先は受入機関の所在地を管轄する官署で、郵送での提出は受け付けていません(オンライン申請は可能です)。手数料はかかりません。[4]
上は入管の手続における「代理人」「申請等取次者」の枠組みです。書類の作成そのものや、報酬を得て申請を取り次ぐ業務は行政書士などの専門家の領域であり、企業がそれを代行できるという意味ではありません。社内で担うのは、自社が保有する資料の準備と社内の時期調整までにとどめ、書類の作成や個別の可否判断は専門家と連携してください。
自社で先に整えられる3点
- 在職証明書 — 扶養者の職業を示す資料として提出が求められます。[2]発行が遅れれば申請も遅れます。相談を受けた時点で発行の手順と担当を決めておきます。
- 報酬水準 — 提出する課税・納税証明書には1年間の総所得が記載されます。[2]扶養能力の判断材料になるのはこの数字です。
- 2号移行の育成計画 — 時計1のとおり、2号になる時期そのものが最大の律速です。試験対策の時間の確保や実務経験の割り当ては企業側の裁量で動かせます。
一方で、扶養能力について必要な収入の金額は示されていません。出入国在留管理庁の在留資格「家族滞在」のページと特定技能のよくある質問を確認した範囲では、必要な年収・月収の基準額の記載はなく、提出資料をもとにした個別の審査とされています。[2]「いくらあれば通る」という数字を人材に約束しないでください。
呼べる家族の範囲は配偶者と子
在留資格「家族滞在」で呼べるのは、扶養を受ける配偶者・子です。該当例も「在留外国人が扶養する配偶者・子」であり、親や兄弟姉妹は含まれていません。[2]
親を短期間だけ日本に呼びたい場合は、在留資格「短期滞在」の該当活動に「親族の訪問」が挙げられています。在留期間は90日、30日、または15日以内の日を単位とする期間です。[9]家族滞在のような長期の同居はできませんが、出産や行事に合わせた一時的な来日であればこちらが受け皿になります。
身分関係は、次のいずれかで証明します。[2]
- 戸籍謄本
- 婚姻届受理証明書
- 結婚証明書(写し)
- 出生証明書(写し)
- 上記に準ずる文書
配偶者について求められているのは婚姻の事実を示す公的な証明です(婚姻届受理証明書・結婚証明書)。[2]婚約中・事実婚などで証明書を用意できない場合、この枠組みでは呼べません。子についても、身分関係を示す出生証明書等が前提になります。年齢の上限など、それ以上の細かい基準は上記の2ページ(在留資格「家族滞在」・特定技能のよくある質問)には示されておらず、個別の審査によります。境界にあたるケース(連れ子、成人した子など)は行政書士などの専門家に事前に確認してください。
家族滞在の在留期間と必要書類
在留資格「家族滞在」の在留期間は、法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)です。[2]本人と同様に、更新の時期を管理する必要があります。
家族滞在の該当活動は「(対象となる在留資格)をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動」と定められています。[2]扶養者である本人が在留しなくなった場合の家族の取扱いについて、同ページに明文はありませんが、この定義が家族滞在の前提である以上、本人の帰国は家族の在留にも影響し得ると考えて説明してください(個別の可否は地方出入国在留管理官署に確認してください)。なお、家族滞在で在留する側には、配偶者と死別または離別したときの届出が定められています。[2]
提出書類は、前述の身分関係を示す資料と扶養能力を示す資料が中心ですが、海外から呼ぶ在留資格認定証明書交付申請では、ほかに次のものが挙げられています。[2]
- 在留資格認定証明書交付申請書、写真
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記し、簡易書留用の郵便切手を貼付したもの)
- 扶養者の在留カードまたは旅券の写し
- 扶養者が事業運営や報酬を受ける活動をしていない場合は、預金残高証明書など生活費用を支弁できることを示す資料
あわせて、次の共通ルールも押さえておきます。[2]
- 日本で発行される証明書は、すべて発行日から3か月以内のもの
- 外国語の書類には日本語の訳文を添付
- 提出書類がそろっていない申請は、審査が大幅に遅れるか不利益処分となり得る
- 提出資料は原則として返却されない
2026年6月に写真の取扱いが変わりました。在留資格変更・在留期間更新・在留資格取得の各申請で、年齢を理由に写真の提出が不要となるのは、令和8年6月13日以前は16歳未満でしたが、令和8年6月14日以降に交付される在留カードからは、在留カードの交付の日において1歳に満たない方となりました(このほか、中長期在留者とならない在留資格への変更・取得や、3月以下の在留期間の更新を希望する場合も写真は不要です)。[2]すでに日本にいる家族の変更申請や、日本で生まれた子の取得申請では、以前の案内のままで準備すると写真の撮り直しが発生します(海外から呼ぶ認定証明書交付申請には、この年齢による免除の記載はありません)。
書類の作成や在留資格の申請取次は行政書士などの専門家の領域です。企業側は、自社が保有する資料の準備と社内の時期調整までを担い、必要に応じて専門家と連携してください。
呼んだ家族は働けるか(週28時間と社会保険の枠)
家族滞在の本来の活動は扶養を受けて在留することですが、資格外活動の包括許可を受ければ、1週について28時間以内で収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動ができます。包括許可の必要書類は申請書のみです。[10]
包括許可の範囲外の活動については、個別許可という枠組みがあります。資格外活動許可の一般原則に適合し、かつ従事する期間が在留期間の過半を超えないと認められる場合に、活動先の機関名や業務内容などを定めて個々に許可されます。出入国在留管理庁が個別許可の例として挙げているのは、業務委託契約や請負契約など標準的に従事することとなる労働時間が明確でない働き方や、稼働時間を客観的に確認することが困難な場合です。雇用契約書などで従事しようとする時間が明確であれば、包括許可の範囲で就労できます。[10]
ここでもう一つ別の枠があることに注意してください。健康保険の被扶養者として認定されるかどうかは、入管の28時間とは別の基準です。厚生労働省の通知では、同一世帯の場合、認定対象者の年間収入が130万円未満で、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満であることが要件とされています(60歳以上または一定の障害がある人は180万円未満)。[11]家族の働き方を決めるときは、入管の28時間と健康保険の認定基準の両方を見る必要があります。
家族を呼ぶ/呼ばないで、会社の実務も変わる
家族を本国に残すか日本に呼ぶかで、会社側で変わるのは主に健康保険の被扶養者の扱いと年末調整での扶養控除の扱いの2つです。
健康保険の被扶養者には、令和2年4月1日から国内居住要件があります。厚生労働省の通知では、住民票が日本国内にある者は原則として要件を満たすとされ、外国において留学をする学生、外国に赴任する被保険者に同行する者など5つの例外が定められています。[12]5つ目の例外は「渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者」で、いずれも日本国内に生活の基礎があることが軸になっています。[12]本国に居住したままの配偶者・子は、通常はこれらに当たりません。来日して住民登録をして初めて被扶養者にできる、という順序になります。
扶養控除も同様です。令和5年分以後の所得税では、非居住者である扶養親族(配偶者以外の親族)が控除対象扶養親族になるのは、その年12月31日現在で16歳以上30歳未満の人、70歳以上の人、または30歳以上70歳未満で「留学により国内に住所および居所を有しなくなった人」「障害者である人」「その年に生活費または教育費に充てるための支払を38万円以上受けている人」のいずれかに限られます。[13]本国に子や親を残している人材については、年末調整で必要な確認と書類が変わります(配偶者は扶養控除ではなく配偶者控除の対象で、別の取扱いです)。
いずれも家族が来日して居住者になれば通常の扱いに戻るため、呼び寄せの前後で給与実務の手当てが必要になります。給与・社会保険の担当部署にも、帯同の予定を早めに共有してください。家族の生活面の受け入れ(住居・生活オリエンテーション・相談体制)は、単身の受け入れとは前提が変わります。企業側の上乗せ支援の考え方は定着支援の考え方で整理しています。
2号まで到達する人材は少数という前提を置く
家族帯同を採用の訴求に使う前に、押さえておくべき実績があります。出入国在留管理庁が受入れ初期の1号在留者について令和8年1月23日現在の在留状況を調べた結果では、2号へ移行していたのは令和元年の在留者で11.4%、令和2年の在留者で14.3%にとどまり、いずれも「出国等」(単純出国、再入国許可期限の満了等)が最も大きな割合を占めていました(速報値)。[14]特定技能2号の在留者数も、令和8年3月末時点の速報値で12,420人です。[14]統計の全体像は特定技能の統計データにまとめています。
つまり家族帯同は「特定技能で採用すれば得られる条件」ではなく、2号まで到達させる前提で設計して初めて成立する条件です。試験合格と実務経験の要件充足を早い段階から支援する計画とセットにしないと、実現しない約束になります。1号の間の定着施策は、家族帯同とは別の手段で作ってください(定着支援の考え方)。
1号の在留中に認められる例外
1号の在留中でも、人道上の配慮として例外的に在留が認められる場合があります。出入国在留管理庁のよくある質問Q9が挙げているのは次の2つです。[1]
- 日本で特定技能1号同士の間に生まれた子 — 在留資格「特定活動」への変更が認められる場合があります。
- 「留学」から特定技能1号へ変更する際に、すでに「家族滞在」で在留している配偶者・子 — 同じく「特定活動」への変更が認められる場合があります。
一方で、本国へ一時帰国して出産する「里帰り出産」をし、本国に子を監護養育する者がいる場合には、人道上の配慮が必要とはみなさないと明記されています。[1]
この2つが「認められる場合がある」という書き方になっているのは、在留資格「特定活動」が法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動だからです。出入国在留管理庁が公表している特定活動の類型一覧にも、特定技能1号の配偶者・子は挙がっていません。[15]該当しそうなケースは、事前に地方出入国在留管理官署や専門家に確認してください。
なお、日本で子が生まれ、出生から60日を超えて在留するときは、事由が生じた日から30日以内に在留資格取得許可申請が必要です(入管法第22条の2)。[16]この申請では、他の書類に加えて質問書の提出が求められ、また住民票を提出しておくと許可後の住居地の届出が不要になります(提出しない場合は許可後14日以内に市区町村での届出が必要です)。[2]出生後の期限は短いため、社内で把握できる仕組みにしておくと安全です。
例外として在留を認められた家族の就労については、扶養を受ける配偶者・子としての日常的な活動を指定された「特定活動」であれば、資格外活動許可の取扱いは原則として家族滞在に準じるとされています。[10]自動的に働けるわけではなく、資格外活動許可を受けることが前提です。
帯同した子は将来どうなるか(呼ぶ時期の判断材料)
家族滞在で来日した子は、高校を卒業した後に日本での就労を希望しても、「技術・人文知識・国際業務」などの学歴等の要件は満たしません。ただし出入国在留管理庁は、一定の要件を満たす場合に在留資格「定住者」または「特定活動」への変更の対象となる場合があるという取扱いを公表しています。[17]
| 要件 | 「定住者」へ変更 | 「特定活動」へ変更 |
|---|---|---|
| 日本の義務教育の修了 | 必要 | 要件に含まれない |
| 日本の高等学校の卒業(見込みを含む) | 必要 | 必要(編入した場合は日本語能力試験N2以上またはBJT400点以上も必要) |
| 入国後、引き続き「家族滞在」で在留していること | 必要 | 必要 |
| 入国時に18歳未満であること | 必要 | 必要 |
| 就労先が決定(内定を含む)していること | 必要 | 必要 |
| 公的義務(住居地の届出等)の履行 | 必要 | 必要 |
| 扶養者が身元保証人として在留していること | 要件に含まれない | 必要 |
出典=出入国在留管理庁「「家族滞在」の在留資格をもって在留し、高等学校卒業後に日本での就労を希望する方へ」[17]いずれの取扱いも、資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労する場合が対象です。[17]
企業にとって、この表の読みどころは2つあります。1つは、「入国時18歳未満」だけでは足りないことです。定住者ルートは日本の義務教育の修了、特定活動ルートも日本の高等学校の卒業が要件なので、日本の学校に通える時期から呼ぶ必要があります(高等学校に編入して卒業する場合も特定活動ルートの対象ですが、日本語能力試験N2以上またはBJT400点以上が加わります)。なお「入国後、引き続き家族滞在で在留していること」については、家族滞在以外の在留資格でも家族滞在の在留資格該当性がある場合(「留学」など)は同じ取扱いの対象とされています。[17]もう1つは、就労先が決定(内定を含む)していることです。6つの要件のうち企業が直接動かせるのはここで、自社が内定を出す立場になり得ます。子の年齢は「いつ呼ぶか」を決める変数であると同時に、将来の採用候補でもあります。
介護分野には2号がない
介護分野には特定技能2号がないため、特定技能のままでは家族帯同はできません。介護で長期就労と家族帯同を目指す場合は、介護福祉士の資格を取得して在留資格「介護」へ移行する道筋になります。在留資格「介護」は、在留資格「家族滞在」の対象となる在留資格に含まれているため、配偶者・子を帯同できます。[2]介護の採用全体は介護分野で外国人を受け入れるで解説しています。
永住を見据える場合も1号と2号で扱いが異なります。永住許可の要件では、特定技能1号の在留期間は就労資格での在留期間に算入されず、2号は算入されるとされています。[1]詳しくは特定技能の在留期間と更新をご覧ください。
まとめ
家族帯同ができるのは特定技能2号(と在留資格「介護」)で、1号と育成就労は原則できません。企業として押さえるべきは、「いつから呼べるか」が2号への移行時期・扶養能力を示す書類がそろう時期・手続にかかる日数の3つで決まることと、そのうち在職証明書の発行・報酬水準・2号移行の育成計画は自社で動かせること、そして申請の代理人になれるのは誰かが在留資格ごとに施行規則で定められており、国内にいる人材の家族を呼ぶ場合は企業の職員が代理人になれないことです。2号へ到達するのは現状では少数派なので、家族帯同を人材への約束にするなら、試験と実務経験の支援まで含めて設計してください。子を呼ぶ場合は、将来の就労の道が「日本の学校に通えるうちに呼べたか」で分かれる点も判断材料になります。
採用手続き全体の流れは特定技能の採用の流れ、制度の全体像は特定技能採用の完全ガイドで解説しています。
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よくあるご質問
- 特定技能1号で家族を日本に呼べますか?
- 原則として呼べません。出入国在留管理庁のよくある質問でも、特定技能1号では家族の帯同は認められないとされています。ただし、日本で特定技能1号同士の間に生まれた子や、『留学』から特定技能1号へ変更する際にすでに『家族滞在』で在留している配偶者・子については、人道上の配慮が必要であるとして在留資格『特定活動』への変更が認められる場合があります。
- 特定技能の外国人は、いつから家族を日本に呼べますか?
- 在留資格『家族滞在』で呼べるのは、特定技能2号になった時点からです。ただし実際に来日できる時期は、2号になる時期に加えて、扶養能力を示す課税・納税証明書がそろう時期と、手続にかかる日数で決まります。出入国在留管理庁は在留資格認定証明書交付申請の標準処理期間を1か月~3か月としており、その後に在外公館での査証申請(申請内容に問題がなければ申請受理の翌日から5業務日が標準)と渡航が続きます。
- 家族滞在の申請に、企業が関わることはできますか?
- 家族滞在の在留資格認定証明書交付申請で代理人になれる者は、入管法施行規則の別表第四で『本邦において本人を扶養することとなる者又は本邦に居住する本人の親族』『本人を扶養する者の在留資格認定証明書の交付の申請の代理人となつている者』と定められています。すでに日本にいる人材が家族を呼ぶ場合、企業の職員は代理人になれません。一方、海外から特定技能2号として採用し家族も同時に呼ぶ場合は、企業が本人の申請の代理人になるため、家族の申請でも代理人になり得ます。なお家族の資格外活動許可については、扶養者を雇用している機関の職員が地方出入国在留管理局長の認めを受けて書類を提出できる旨が定められています。
- 家族帯同のために、企業側でできることはありますか?
- 家族滞在の審査で使われる資料のうち、扶養者の在職証明書と、報酬額が反映される住民税の課税(または非課税)証明書・納税証明書は、企業の対応と報酬水準に左右されます。また課税証明書はその年の1月1日に住んでいた市区町村が発行するため、入国後間もない場合や転居した場合は発行されないことがあり、その場合は最寄りの地方出入国在留管理官署に問い合わせることとされています。呼び寄せの時期は、この書類がそろう時期から逆算してください。
- 家族滞在で来日した家族はアルバイトなどで働けますか?
- 資格外活動の包括許可を受ければ、1週について28時間以内で就労できます。包括許可の必要書類は申請書のみです。包括許可の範囲外の活動(業務委託や請負など、標準的に従事する労働時間が明確でない働き方など)については、要件に適合すると認められる場合に、機関名や業務内容を定めた個別許可が個々に与えられます。なお健康保険の被扶養者の認定基準は入管の28時間とは別に定められています。
- 家族滞在では、家族なら誰でも日本に呼べますか?
- 呼べるのは扶養を受ける配偶者・子です。親や兄弟姉妹は在留資格『家族滞在』の該当例に含まれていません(短期の来日であれば、在留資格『短期滞在』の該当活動に『親族の訪問』が挙げられています)。身分関係は戸籍謄本・婚姻届受理証明書・結婚証明書・出生証明書などで証明します。配偶者について求められるのは婚姻の事実を示す公的な証明です。
- 育成就労では家族を帯同できますか?
- できません。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&AのQ59で、育成就労制度では原則として家族の帯同を認めないこととされています。家族帯同を見据えるなら、育成就労から特定技能1号へ、さらに2号へという道筋を計画に入れることになります。
- 介護で家族帯同や長期就労を目指すにはどうすればよいですか?
- 介護分野には特定技能2号がないため、特定技能のままでは家族帯同はできません。長期就労と家族帯同を目指す場合は、介護福祉士の資格を取得して在留資格『介護』へ移行する道筋があります。在留資格『介護』は家族滞在の対象となる在留資格に含まれています。
出典・参考(一次情報)
- 特定技能(よくある質問Q9・Q10・Q12・Q37)(出入国在留管理庁)
- 在留資格「家族滞在」(該当活動・在留期間・提出書類)(出入国在留管理庁)
- 育成就労制度Q&A(Q59 家族の帯同)(出入国在留管理庁)
- 在留資格認定証明書交付申請(申請提出者・提出先・手数料・標準処理期間)(出入国在留管理庁)
- 在留審査処理期間(令和8年5月許可分・PDF)(出入国在留管理庁)
- 査証取得までの必要日数(令和4年12月5日)(外務省)
- 在留資格認定証明書の電子化について(令和5年3月17日から電子メールで受領可)(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 別表第四(第6条の2関係)・第6条の2第4項・第19条第3項(e-Gov法令検索)
- 在留資格「短期滞在」(該当活動・在留期間)(出入国在留管理庁)
- 「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について(出入国在留管理庁)
- 収入がある者についての被扶養者の認定について(昭和52年4月6日保発第9号)(厚生労働省)
- 被扶養者の国内居住要件等について(令和元年11月13日保保発1113第1号)(厚生労働省)
- No.1180 扶養控除(非居住者である扶養親族)(国税庁)
- 外国人労働者に関する制度概要(特定技能2号在留外国人数・1号特定技能外国人の活動後の在留状況)(出入国在留管理庁)
- 在留資格「特定活動」(該当活動・類型一覧)(出入国在留管理庁)
- 在留資格の取得(入管法第22条の2)(出入国在留管理庁)
- 「家族滞在」の在留資格をもって在留し、高等学校卒業後に日本での就労を希望する方へ(出入国在留管理庁)